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就職ノウハウ

「ビジネスへの関心の有無」が就職活動の成否を左右する

Q.【ブログ記事】ビジネスへの関心を示せないと、単なる「法律オタク」と評価されてしまうという話。

A.

法科大学院修了生の就職活動をお手伝いしていると、【法律への関心】を前面に押し出して就職活動を行っている方を頻繁に見かけます。理由を伺うと、法律知識があり、法律が大好きであることをアピールすることが、法律関連職種(主に企業法務)への適性を示すことになり、選考での高評価に繋がると考えるためと回答する方がほとんどです。

 

しかし、企業から届く、法科大学院修了生の落選理由に目を向けると、

・自社の事業への興味関心が見えなかった

・法律が好きなのはわかったが、ビジネスへの興味関心が見えなかった

 

と、ビジネスへの興味関心を示せなかったことが理由で落選となる法科大学院修了生が少なくないのが実状です。

今回のコラムでは、「ビジネスへの関心」が法科大学院修了生の就職活動にとって、なぜ重要になってくるのかを考察して行きます。

 

 

鉄道オタクは鉄道会社から嫌われる

先日、NIKKEI STYLEというサイトで「鉄道オタクはなぜ 鉄道会社に嫌われるのか?」という記事を見かけました。その記事では、鉄道が大好きな、いわゆる“鉄道オタク”と呼ばれる就活生が鉄道会社に応募しても、ほぼ全滅するという話が紹介されていました。一見、意外にも思えましたが、記事で紹介されていた主な理由は以下の二つです。

 

❶鉄道会社は多事業展開

鉄道会社のほとんどは、鉄道事業のみならず、建設・不動産・外食・流通・ホテル事業など、多数の事業を同時展開しているため(むしろ、鉄道事業以外の事業で利益の大半を出している会社もあるようです)、入社後、鉄道事業以外の部署に配属される可能性が高く、鉄道事業のみに並々ならぬ興味関心を示す人材は扱いづらいと企業側が感じるため。

 

❷利益を追求する存在である会社とファンの思いとの乖離

「消費者であるファンの立場から会社に求める施策」と「利益を伸ばすために会社が行うべき施策」が相反する場面も少なくなく(わかりやすいところでは、ファンとしては値下げ希望⇔会社としては値上げ希望etc.)、消費者として熱い思いを持っているだけでは、会社の利益追求に貢献できないと考えるため。

 

 

学生 「ずっと好きでした」

学生 「子どものころからグッズを集めていました」

 

企業 「ありがとう。ずっと、いいお客さんでいてください」

 

企業からすれば、ファン・オタクかどうかよりも、入社して利益を伸ばしてくれそうかどうか、そこが重要です。

 

出典:NIKKEI STYLE「鉄道オタクはなぜ 鉄道会社に嫌われるのか?」

 

 

この記事から学べることは、特に、ポテンシャル採用においては、応募先企業の事業内容に関心があっても、応募先企業の利益を伸ばすことへの関心がない応募者は魅力的に映らないということです。

ましてや、事業内容にすら関心を示さず、ひたすら、法務としての業務内容・社風・就業環境の良さ・成長環境への興味関心を示し続ける応募者は、件の鉄道がひたすら大好きな応募者よりも、低評価を下されるおそれがあります。

ただでさえ、就職を行わず長年、資格試験の勉強に没頭して来た法科大学院修了生に対しては、企業側は、学部新卒の就活生以上に、【ビジネスへの関心】が薄そうという偏見を持ちがちです。

だからこそ、応募書類や面接を通じて、自分自身が単なる法律オタクではなく、「法律をツールに企業の利益を追求するビジネスパーソン」であることをしっかりと示す必要があります

 

 

「ビジネスへの関心」をどう養うか

ここまで、就職活動において、【ビジネスへの関心】を示すことの重要性について語って来ました。しかし、関心のない事象に対し、関心を持ちましょうと言われて、すぐに関心が持てるほど、話は単純ではないと思います。

ただ、総じて、「関心がない事象=持っている情報が少ない事象」であることが多いと思います。その意味では、ビジネスに関する情報を多く仕入れることで、ビジネスへの関心が想起されて行くという面はあると言えます。そのため、

・有名社長などの台閣立志伝的な伝記をいくつか読んでみる

・成功する事業、成功しない事業の違い等を解説した本を読んでみる

 

といった取り組みを行うことで、【ビジネスへの関心】が醸成されて行く可能性は高いと考えています。例えば、「経営者や起業家の自伝オススメ13選。これからの時代を生き抜くヒントを手に入れろ!」というブログや、コンサルタントが選ぶ「新規事業立ち上げおすすめ本」8選というサイトなどに、良さそうな書籍が紹介されておりますので、よければご参考になさってください。

 

そうして、【ビジネスへの関心】を醸成すると、応募先企業の事業・ビジネスモデルについて調べ、何が事業成功のキーファクターになるのか等を考えることが楽しくなると思います。

正直、多くの法科大学院修了生が就く“法務職”のお仕事では、直接、会社の利益を生む仕事にタッチする機会は少ないと思いますが、それでも、どんな役割が与えられるかに関わらず、「自社のビジネスを伸ばしたい」というスタンスを持って仕事を行う人材の方が絶対的に社内で好まれますし、発する言葉にも耳を傾けてもらいやすいと思います。

その意味では、【ビジネスへの関心】の有無は、就職活動の成否のみならず、入社後の評価をも左右する重要な要素と言えるかもしれません。

ぜひ、まずは、【ビジネスへの関心】を想起する書籍等の閲読からはじめてみてください!

 

 

 

この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。

『“ビジネス社会”と“司法試験界”との価値観の違い』

『アフターコロナと法科大学院修了生の法務キャリア』

 

 

 

【筆者プロフィール】
齊藤 源久

法科大学院修了後、大型WEBメディアを運営するIT企業にて法務責任者、事業統括マネージャーを担当した後、行政書士事務所を開設。ビジネス法務顧問として、数十社のベンチャー企業の契約法務や新規事業周りの法務相談を担う。

2014年より、株式会社More-Selectionsの専務取締役に就任。前職での採用責任者の経験・長年の法務経験・司法試験受験経験などを生かし、法科大学院修了生の就職エージェント業務、企業の法務部に派遣する法科大学院修了生向けの法務実務研修の開発・実施などを担当している。

 

 

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