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インタビュー

現場から見た優秀な法務担当者とは

Aさんは大学卒業後、当社でのアルバイトを経て、大手メーカーに法務担当者として入社されました。現在はぶるぺんのメンバーとして、就職活動中の方にアドバイスをしていただいております。法務担当者として3年目のAさんに現在の状況、これからの展望を聞かせていただきました。

 

インタビュアー:吉田昌矢(株式会社More-Selections取締役)

吉田
就職されてからの振り返りをお願いします。まず、社会人3年目となったAさんの仕事は充実していますか?

Aさん
充実しています。実は、就職活動期間を含めて就職までの1年くらいの間あまり社会と関わりを持っていなかったこともあり、最初のうちは、集団に溶け込むことに少し苦労しました。今は、とても楽しくやっています。会社に馴染めるかということを不安に感じる方もいらっしゃると思いますが、ある程度の時間が経てば周囲と仲良くなれるはずなので、大丈夫です!

吉田
法務業務で一番やりがいを感じる時、難しい業務を教えていただけますか。

Aさん
やりがいを感じる仕事は、今まで法務部門で一度も取り扱ったことのない業務を担当している時です。誰も担当したことがない業務ですので、マニュアルはないのですが、一から自分でやれるので楽しいです。結論を上司に提出する時には、その結論が正しいことを客観的で信頼できる根拠で証明しなくてはならないので、問題点を網羅的に発見する能力や、資料の検索能力が必要となり、難しい業務です。

吉田
これから法務担当者としてレベルアップしていくためにどのような自己研鑽をしていこうと思っていますか。

Aさん
第一は英語の勉強です。業界にもよりますが、法務としてレベルアップするために一番必要なのは英語力だと思います。まずは、英語に抵抗がないことを証明するためにTOEICのスコアアップに挑戦中です。法律英語をマスターするにはTOEICとは別の勉強が必要となりますが、とりあえずは、部門内の英語関連業務を担当させてもらえるようにするために、英語力の証明に定評のあるTOEICを受験しています。第二は財務諸表関連や税金関連の勉強です。これらは、法務と関連性があり、専門性も高く、スキルとしてとても重宝されると思います。また、法務の仕事は、基本的に問題を未然に防ぐという事前の対応が中心となりますが、「何も問題が起こらない」という仕事の成果は他部門からは目に見えにくいものとなりがちです。節税等、数字で結果が見えるような仕事ができればと思っています。

吉田
司法試験を勉強していて役に立ったことはありますか。

Aさん
論理的な思考ができることと文章力が身についたことだと思います。会社の仕事は本当に多岐にわたり、雑務も沢山あります。法務に限らず、あるテーマについて文書で回答しなくてはならないケースは多々あり、相手にわかりやすく「問題点」「結論」「理由」等を正確に端的に書ける能力は必須です。

吉田
優秀な法務担当者とはどのような方だと思いますか。

Aさん
色々あると思いますが、あえて挙げるとしたら、「ヒアリングを通じて、現場の事情を正確に知ることの出来る能力を備えている人」だと思います。このような人になることは、目下の私の目標でもあります。よく、「現場を知らないと法務は出来ない。」と言われますが、このことは、現場での仕事に従事した経験がなければ法務が出来ないという意味ではないと思います。法務の仕事は会社のあらゆる業務と関連しますが、全ての部門に在籍した経験があり、全ての業務に精通している人なんていないと思います。そうではなくて、法務担当者は、契約法務であっても、コンプライアンスであっても、契約書や条文を読んで、実際の契約や案件においてどのような問題点が生じるのかを具体的にイメージし、そのイメージの内容を自分の会社が守れるか、対応できるかということを「現場」からヒアリングし、把握しなくてはならないという意味なのだと考えています。もちろん「現場」の人達は、専門外の法律についてあまり詳しくないことが多いため、契約書や条文が想定している内容について、その人達から事情を的確に聞き出すための適切なヒアリングを、法務担当者からしなくてはなりません。その上で、ヒアリングの結果を、契約法務であれば契約書に反映し、コンプライアンスであれば対応策を考え出すという対応が必要となると思います。「現場」にいなくても、当該案件について問題となる事情を正確に把握できる能力が求められているのだと思っています。

吉田
将来どのようなビジネスパーソンになりたいと思いますか。

Aさん
今後増えることが予想される、インハウスローヤーに負けない実力を身につけたビジネスパーソンになりたいと思います。

吉田
就職活動中の自分にアドバイスできるとしたら、どんなことをアドバイスしますか(今だからできるアドバイス)。

Aさん
「志望動機をもっと素直なものにしよう」ということです。就職活動当時は、その会社に起こったタイムリーな出来事や、HP上に掲載されている今後の事業展開などばかりを意識して志望動機を考えていました。しかし、社会人経験もないのに上記のような事柄を追いかけても、知ったかぶりになってしまったり、的外れになってしまったりすることが多々ありました。それよりも、その会社が何をして売上を上げているのか、つまり、何をして社会に貢献しているのかということを端的に捉えられていたら良かったと思います。その上で、その会社の貢献によって自分がどのような恩恵を受けているのかという観点から会社と自分との繋がりを見つけて、その業界に対して感じる魅力や意欲を掘り下げていけたら、もっと説得的な志望動機になったのではないかと思います。

吉田
ありがとうございました。

インタビューを終えて

優秀な法務担当者は、『「現場」にいなくても、当該案件について問題となる事情を正確に把握できる能力』が必要であるというのは、まさにその通りだと思います。Aさんは、相手の話を誠実に聞くタイプの方なので、就業中の企業様でも他部署の方から信頼をいただいているのではないかと思います。

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