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就職ノウハウ

法科大学院修了生の就職活動・年間カレンダー

Q.法科大学院修了生向けの求人が多くなる時期、応募者が増える時期などを教えてください。

A.

法科大学院修了生の企業就職活動がどのような年間スケジュールで行われるのかは、実はあまり知られていません。本記事では、年間カレンダーと照らし合わせながら、法科大学院修了生向けの求人が増える時期・減る時期、季節ごとの企業属性、ライバルとなる応募者が多い時期・少ない時期、競合するライバルの属性が変わる時期などを解説して行きます。

 

 

■5月(司法試験直後)

司法試験に不合格だったときの保険として企業就職を考える方、合否に関わらず企業の法務部での就職を希望される方などが就職活動に着手し始めます。年齢が若めの方ですと、中途採用枠の法務求人と並行して新卒枠の総合職求人などにも応募を行います。

 

■6月(超大企業の選考がスタート)

例年、この時期に、ロー卒枠を設けた超大企業(法科大学院に直接求人が来ることが多いです)が選考を開始します。年齢・学歴に自信のある法科大学院修了生が主に、この枠にこぞって応募を行います。人によっては、この時期は、通常の中途採用枠の法務求人には応募せず、超大企業の法科大学院修了生枠の求人にのみ応募を行う方も少なくありません。

また、6月半ばに司法試験短答式試験の合格発表があるため、そこで不合格となった方、合格したものの芳しい点が取れなかった方などが、新たに就職活動に着手し始めます。もっとも、短答式試験に手応えがなかった方は、5月の司法試験直後から就職活動を行っている方が少なくないようで、例年、司法試験短答式試験の合格発表後にライバルとなる応募者が急増するという現象は起きていません。だいたい、5月比、1.2倍程度の増加に留まることが多いです。

 

■7月(超大企業や公務員の選考が終盤へ)

7月も下旬になると、法科大学院修了生から人気の高い公務員試験や前述の「法科大学院修了生専用の採用枠を設けた超大企業」の選考が終盤を迎えます。そして、そこで色よい結果が出なかった法科大学院修了生が、中途採用枠の法務求人に応募し始めます。アクティブに就職活動を行っている法科大学院修了生の数という意味では、5月比1.5倍ほどになります。

人材層としても、年齢・学歴に自信のある法科大学院修了生が中途採用枠の法務求人に流れて来ますので、強力なライバルが増える時期と言えます。

 

■8月(就職活動が一段落)

8月になると、司法試験直後から就職活動を行って来た法科大学院修了生の中には、超大企業のロー卒枠(かなりの狭き門ですが…)、新卒枠、中途採用枠のいずれかで就職先を見つける方が増えて来ます。その意味で、8月はライバルとなる応募者の数がやや減る時期と言えます。数字的には、例年、およそ、5月比0.8倍ほどとなることが多いです。

 

■9月~12月(司法試験合格発表後の最激戦期間)

9月上旬から中旬にかけて、司法試験の合格発表があります。合格発表後は、司法試験で良い結果が出なかった大量の法科大学院修了生が就職活動を開始します。アクティブに就職活動を行う方の数としては、5月比で3~4倍ほどとなることが多いです。ライバルの属性としては、

・5回の受験制限を受け切った29歳~30代前半の方

・まだ受験資格はあるものの、司法試験からの撤退を決めた24歳~28歳くらいの方

 

がメインを占めます。ライバルは多く、年齢・学歴面も多様で一番競争の激しい時期となります。こうした激戦は年内中まで3ヶ月ほど続きます。新卒枠も超大企業のロー卒枠も選考が終わっているところが多いため、基本的には、中途採用枠の法務求人を中心に応募を行う方が多数派になります。

ちなみに、求人数については、一年でそれほど大きな増減の波はないですが、9月の合格発表後に法科大学院修了生の応募者が急増することを見越して、この時期に合わせて法科大学院修了生向けの求人を出す企業がチラホラ現れます。

 

■1月~3月(急募案件の増加時期)

年が明けると、強力なライバルとなる法科大学院修了生が内定を獲って市場からいなくなるため、ライバルの数・強度は下がっていきます。数字的には、5月比で2倍ほどとなることが多い状況です。

一方で、企業側では、1月から3月にかけては人事異動の時期となるため、不意にポジションが空くことが多く、4月1日入社を目指しての急募の案件が増えます。そのため、採用までのスピードを重視する分、選考のハードルが下がる傾向にあり、それだけ、法科大学院修了生にとってはチャンスの大きな時期となります。

 

■4月(ライバル激減、企業も動きが鈍くなる時期)

4月になりますと、年明けからの急募案件増加時期に内定を獲得した法科大学院修了生が市場から退場し、ライバルの数・強度はさらに下がる傾向にあります。数字的には、5月比で0.5倍ほどまで下がります。

一方で、企業側では、新卒枠で採用した新人が大量に入社し、人事担当者がそちらの対応に追われることが多いため、採用の動きが鈍くなりがちです。そのため、応募を行ったもののなかなか選考結果が出ない、面接に呼ばれたものの指定された日付がかなり遠い日程となってしまうといった事象が起きやすくなります。

 

 

 

 

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『数字で読み解く、法科大学院修了生の就職活動スケジュール』

『法科大学院修了生の就職活動ロードマップ』

 

 

 

【筆者プロフィール】
齊藤 源久

法科大学院修了後、大型WEBメディアを運営するIT企業にて法務責任者、事業統括マネージャーを担当した後、行政書士事務所を開設。ビジネス法務顧問として、数十社のベンチャー企業の契約法務や新規事業周りの法務相談を担う。

2014年より、株式会社More-Selectionsの専務取締役に就任。前職での採用責任者の経験・長年の法務経験・司法試験受験経験などを生かし、法科大学院修了生の就職エージェント業務、企業の法務部に派遣する法科大学院修了生向けの法務実務研修の開発・実施などを担当している。

 

 

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