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就職ノウハウ

法科大学院修了生の就職活動と英語力

Q.法務部門への就職を希望しています。就職するためには、どのくらいの英語力が必要でしょうか。

A.

一般的に、就職活動を行う上で、「英語力」があることが重要だと言われています。そのため、就職活動中の法科大学院修了生の中には、ご自身の英語力について不安を抱いている方も少なくないと思います。はたして、法科大学院修了生が就職活動を行うにあたっては、どれほどの英語力が求められるのでしょうか。本記事では、法科大学院修了生の就職活動と英語力の関係について解説して行きます。

 

 

就職活動における「英語力」の位置づけ

そもそも、企業は、採用において「英語力」の高低で何を測っているのでしょうか。経験上、大きく分けると、

 

①英語を用いた業務への対応可能性

②地頭の良さ

 

この2点のいずれかを見ているケースがほとんどだと思います。

①についてはイメージが湧きやすいと思いますが、短期または中期的な未来に任せたい業務内容の中に英語を用いる業務が含まれているケースです。国内市場が停滞する中で海外での取引の割合を増やす企業が増えており、そういった企業の法務部門では、英語を用いた契約書審査・契約交渉などの業務が増えています。こうしたケースでは、英語力がないと業務に対応できないことになりますので、企業側が『応募要件』として、“一定の英語力があること”を指定することが多くなります。その結果、英語力がある方にとっては、応募できる求人が増えるという効果が期待できますし、応募した際のライバルも少ないことになります。

 

一方で②については、「高い英語力を身に着けている=地頭が良さそう」というイメージで、能力面の期待値評価に、英語力の高さを反映させる企業が相当数あります。そのため、少々、学歴面で他の応募者に劣っていたとしても、英語力があることで、能力面の期待値評価が上方修正されることが期待できます。

 

 

企業は英語力をどのような方法で評価するか

ここまで、「就職活動における英語力の位置づけ」について解説して来ましたが、そもそも、企業はその「英語力」をどのように測っているのでしょうか。

 

結論から言いますと、現状は、TOEICのスコアで英語力を判定する企業が大多数です。

 

そのため、英語力を判定するテストとしては、他にTOEFL・英検なども知られていますが、企業の採用担当者としては、TOEFLのスコアや英検の等級を示されても、どれほどの英語力があるのかをイメージできない方も少なくないと思います。

したがって、仮に、TOEICのスコアを保有しておらず、TOEFLのスコアしか有していない場合などには、「TOEICのスコアに換算すると約●●●点相当」と、補足説明を入れた方がよいと思います。

なお、TOEICスコアとTOEFLスコアの相関関係については、TOEFL lab「世界に一つだけのTOEFLとTOEICの換算式~これでトーフルiBTのほんとの難易度がわかる」などが参考になると思います。

 

 

ときには、英語力を測る選考も…

上述のように、企業の大半は履歴書に記載されたTOEICのスコアで応募者の英語力を評価していますが、企業の採用担当者の方のお話を伺う限り、厳密には「TOEICのスコアの高さ≠英語を用いた業務への対応力」と考えている方が少なくないようです。その意味では、若干、妥協的にTOEICのスコアで英語力を測っているところがあるということになります。

 

そのためか、企業の中には選考の過程で、実際の英語力を測る試験を課すところもあります。試験内容としては、英語力一般を問う独自のペーパーテストであったり、英文契約書を用いた実務的な課題であったり、英語面接であったりします。

英語面接については、抜き打ちで課せられるケースもありますので、英語を用いた業務が期待される企業の選考前には、少なくとも自己紹介は英語でよどみなく行えるよう、準備をされるとよいと思います。

 

 

法科大学院修了生に求められる英語力

■英語力が要件となる求人の割合

以上を踏まえたときに、法科大学院修了生が就職活動を行う上で求められる英語力はどれほどになるでしょうか。弊社で過去3年間に取り扱った法科大学院修了生向け求人の応募要件を見て行く限り、

 

・TOEIC800点以上を応募要件とする求人が全体の約10%

・TOEIC650点以上を応募要件とする求人が約18%

・具体的なスコアこそ指定しないものの、辞書等を使って英語を読み書きできるレベルを求める求人が約33%

 

となっています。

これから、TOEICのスコアを取得しようとしている方にとっては、ひとまず、「TOEICスコア650点以上」というのが、一つ目の山になると思います。

 

■法科大学院修了生の英語力相場

それでは、法科大学院修了生のTOEICスコアはどれくらいになのでしょうか。過去3年間に弊社に登録して就職活動を行った法科大学院修了生の登録情報を見る限り、

 

・TOEICスコアを保有している法科大学院修了生が全体の66%

・TOEICスコアを保有している法科大学院修了生の平均点が685点

 

となっています。およそTOEICで700点以上となると、法科大学院修了生の平均を優に上回り、800点以上になると、超上位層に入って来るイメージです。

少し勉強してTOEIC800点を狙えるのであれば、頑張ってみる甲斐はあると思います。

 

■どのくらい昔のスコアまで履歴書に記載できるか

多くの法科大学院修了生は、大学時代または法科大学院入学前にTOEFLのスコアを取得して以来、英語には全くタッチしていないという状況で就職活動に挑まれています。そのため、どのくらいの昔のスコアまで履歴書に記載できるかは大きな関心事だと思います。

 

巷で「TOEICのスコア有効期限は2年という説」もあるため、法科大学院入学前に取得したスコアは記載できないのではと危惧される方がおられますが、結論としては、たとえそれが10年前のスコアであっても履歴書に記載する価値はあると思います。

もちろん、ブランク期間を割り引かれて英語力を評価される可能性はありますが、「少し頑張れば、このくらいのスコアは取れるのか」とポジティブに評価されるケースが少なくないためです。

 

 

終わりに

本日は、法科大学院修了生の就職活動と英語力について解説して来ました。英語力がなくても十分就職は可能ではあるものの、英語力、すなわちTOEICスコアがあることで、一気に就職活動が有利になるという構図があります。

TOEICのスコアをお持ちでない方の中で、少し勉強したらTOEIC600~650点くらい取れそうという手応えが持てるのであれば、頑張ってTOEICのスコアを取りに行くのは、就職戦略上、とても有効だと思います。

 

一方で、TOEICのスコアを取得するためには、毎月定まった日に行われる試験を受験し、そこから約一ヶ月を待たないといけません。そのため、TOEIC受験を決意してからスコアを取得するまでに1ヶ月~2ヶ月を要することになり、せっかく英語力を高めても、なかなか就職活動に活用できないという事態が生じ得ます。

もし、早くにスコアが欲しいという場合には、CASECというオンラインで短時間で受験できて、TOEICスコアに換算したときの目安まで表示してくれる便利な試験がありますので、よろしければ受験をご検討ください。

 

 

この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。

『法科大学院修了生が書類選考で落選となる理由』

『応募した企業から選考結果が届かない理由』

 

 

 

 

 

【筆者プロフィール】
齊藤 源久

法科大学院修了後、大型WEBメディアを運営するIT企業にて法務責任者、事業統括マネージャーを担当した後、行政書士事務所を開設。ビジネス法務顧問として、数十社のベンチャー企業の契約法務や新規事業周りの法務相談を担う。

2014年より、株式会社More-Selectionsの専務取締役に就任。前職での採用責任者の経験・長年の法務経験・司法試験受験経験などを生かし、法科大学院修了生の就職エージェント業務、企業の法務部に派遣する法科大学院修了生向けの法務実務研修の開発・実施などを担当している。

 

 

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