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企業法務とは

契約法務とは?

契約法務の業務内容と着眼点 ~法務のイメージを掴む~

■契約法務の業務内容を知ることの重要性
昔も今も、企業の法務職への就職を希望する法科大学院生は少なくありません。

その一方で、法務担当者がどのような業務を担い、どのように仕事を進めていくことになるのか、具体的にイメージできている方は少なく、単に、「法律を使えそうな仕事」くらいのイメージに留まっている方が大多数です。

法科大学院修了生が応募するポテンシャル採用枠においては、とにかく“意欲の強さ”が重視されます。そして、何をやるかもわからないのに意欲だけを燃やせる人はいません。そのため、法務の仕事のイメージを出来るだけ具体的なものにすることは、意欲の向上ひいては、選考通過率の上昇に繋がると言えます。

そこで、今回は法務業務の中でも契約法務に焦点をあてて、その業務内容を解説していきます。

 

■契約法務とは

契約法務とは、「契約書の作成、審査をすること」を言います。

企業では日常的に契約が行われており、その契約が合法・違法であるかという点だけではなく、どのような契約書を交わせば企業の利益を最大化することができるのかということまで考慮する必要があります。

会社の利益は「売上-経費」で求めることができますので、“利益の最大化”を図る上では、次のような観点が重要になって来ます。

 

 

◆ 会社に売上をもたらす契約を多数締結すること

◆ 契約を締結した取引先と継続的な取引関係を築くこと

◆ 契約から生じる経費を最小限に抑えること

 

 

換言しますと、

「契約によるリスクを制御しつつ、自社と取引先が双方WINWINになるような契約をスムーズに締結して行くこと」

が、あるべき契約法務の姿ということになります。

就職前にこのような視点から勉強することで、面接での応対にも深みが出ると思います。

 

■契約書作成・審査をする前に

契約法務で重要なことは、

・取引の内容を明確にすること

・取引上存在するリスクを極力排除すること

の2点です。

 

そして、そのためにまずは、目の前の契約書により、具体的にどのような取引が行われていくのかを深く理解する必要があります。

なぜなら、取引で扱われている製品やサービスへの理解が不十分だと、それらの製品・サービスがどのようなトラブルを引き起こす可能性があるのかを予測できず、想定外の問題が発生し、損害賠償や違約金、トラブルに対応する人員の人件費といった経費が大きく膨らんでしまうおそれがあるからです。

一方で、あらゆるリスクを排除した契約書が望まれているわけではなく、例えば、ほとんど起こり得ないリスクを回避するための条項をやたらと契約書に盛り込んでしまった場合には、かえって取引先の心証を悪くしてしまい、契約破棄に繋がるおそれすらあります。①多数の契約を締結するという観点からは、このような事態は避けなければいけません。

そういった意味で、企業間の力関係を理解しつつ、リスクの発生可能性の高さについても、十分に検討する必要があります。

 

■契約法務ではどこに着目すべきか
契約法務においては、上述の通り取引内容の確定とリスク排除という観点が重要です。

 

 

①契約書が取引内容を正確に反映しているか

②解釈の余地がなく取引内容が書かれているか

③リスクを最小限に抑えることができるか

 

 

という点が重視されます。

 

具体的には、①については、契約書に書かれている内容が実際の合意内容と乖離していないかという点に着目します。そのためには、契約書に書かれている内容を正確に理解すると共に、現場担当者同士でどのような合意が為されたかの丁寧なヒアリングが必要になります。

 

②については、契約書の文言が解釈の余地のない正確な日本語で書かれているかという点に着目します。解釈の余地のある曖昧な文言で書かれた条項は、契約書の持つ「紛争の事前予防としての機能」を十分に果たせないおそれがあり、契約上発生する経費する最小限にするという観点からも望ましくありません。正確な国語の文法を駆使し、単語の意味を慎重に確認することが求められます。

 

③については、適用される法律(強行法規)に違反しないかということや、類似の取引事例や契約類型からどのような問題が起こり得るか想定したうえで、その問題のリスクを最小化するためにはどうすればいいかということに着目します。

強行法規に違反する契約を締結すれば、罰金などで余分な費用が掛かってしまうだけでなく、社会的信用を失い、既存の取引先から取引を継続してもらなくなったり、新たな取引先を開拓することが難しくなってしまいます。

また、類似の取引事例や契約類型を見ることで、同様の契約ではどのような問題が起こりやすいのかということを予測することができます。事前にどのような問題が起きる可能性がどの程度大きいのかということが分かっていれば、相手との信頼関係などを踏まえつつ、防御策を取るのか、そのリスクを受け入れるのかという判断をすることもできるようになります。

 

■おわりに
未経験のまま入社していきなりこのような事項を全て考えるということは難しいと思いますが、短期的な個別の取引のみを見るのではなく、長期的に相手企業との関係を築くためにはどうすればいいのかという観点から、柔軟性のある対応をすることが求められます。

たとえば、継続的な契約関係を築くという観点からは、柔軟性のある対応をするために、取引相手の状況を推測し、相手にも利益がある契約内容を考える場面も有り得ます。その推測の材料として、取引相手のことをよく知っている営業部門や、契約目的の製品・サービスを作る製造部門など、現場とのコミュニケーションを密にする必要があります。

 

また、一般的にその契約類型についてどのような条項が盛り込まれているのかを知ることで、目の前の契約が一般的なものと比べて自社にとって有利なものなのか不利なものなのか、自社が行っている提案が一般的なものなのかイレギュラーな重たい提案なのかを判断することができるようになります。

そうした「相場観」とも言える感覚を備えることで、こちらの提案に対する相手方の動向を予測することができます。

 

ここまで契約法務について説明してきましたが、志望する業界でどのようなトラブルが多いのか、それを解決するために法務担当者がどのような工夫をしてるかということについて具体的なイメージを固めておくと、志望度・熱意を伝えることができ、一層面接が有利になります。可能であれば法務担当者の方が集まるセミナーなどに参加し、情報収集を兼ねて法務担当者の方と交流する機会を持ってみてはいかがでしょうか。
また、法科大学院修了生の方は、今まで社会人としての立場で人とコミュニケーションをする経験が少ない方が多いと思いますので、社会人同士のコミュニケーションの練習という意味でも、良い経験になると思います。

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