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就職ノウハウ

企業が応募者に主体性を求める理由

Q.【ブログ記事】企業が応募者に「主体性」を求めるのはなぜか?

A.

法科大学院修了生の皆さんが、企業の求人票を見ているときに、「求める人物像」として、度々、「主体性」のある方と記載されているのを目にすると思います。なぜ、どの企業も、揃って「主体性」を求めるのか?わかるようでわからない、この事象について、今回は考えて行きたいと思います。

 

 

企業が求める学生の資質、1位は「主体性」経団連調査

出典:Resemom(リセマム)

 

 

 

そもそも、「主体性」とはどういう意味でしょうか。

例えば、主体性と自主性の違いに焦点を当てた以下の記事では、

 

 

主体性:いかなる状況においても自分で考え、判断し、行動すること

出典:U-NOTE

 

 

と定義しています。他にも「主体性」について言及する記事は少なくありませんが、いずれにおいても、比較的似たような定義がされることが多い印象です。

 

 

では、なぜ、企業は主体性のある人材が欲しいのでしょうか?

 

 

答えは比較的簡単です。

 

“放っておいても、勝手に成長し、勝手に会社に貢献してくれる人材”が入社してくれれば、マネジメントコスト(社員を教育し、業務手順を指示し、業務進捗を確認し、フィードバックを与え、モチベーションを維持・向上させる等の手間)をかけることなく、会社の業績を伸ばして行くことが出来るからです。そんな魔法の杖があれば、誰だって欲しいと思います。

つまり、企業が「主体性」のある人材を求める根底には、出来る限りマネジメントコストをかけずに成果を上げたいという企業側の本音があると考えています。

 

では、なぜ、企業はマネジメントコストを出来るだけかけたくないと考えるのでしょうか?

 

一般的に、会社組織における経費のうち多くの割合を占めているのが「人件費」だと言われています。

そして、企業の中では様々な時給単価の社員が働いていますが、(月給制、年棒制の場合でも、もらっている額から逆算して、だいたいの時給単価は想像出来ると思います。)その中でマネジメントを行うのは、主に、社内でも時給単価が高い部類の社員になります。

 

そうしますと、「マネジメントに費やす時間が長い=時給単価が高い社員の時間が多く割かれる」という図式が出来上がりますので、マネジメントコストの高い人材の管理に対しては、それだけ、企業として大きな負担を感じるということになります。

 

採用担当者の方とお話をしていても、「一を聞いて十出来る人が欲しい」、「一から十まで教えないと出来ない人は欲しくない」という声をよく耳にします。たしかに、マネジメントする側の社員が費やすコストが一で済むのか、その十倍必要なのかによって、企業側が感じる負担感は大きく変わって来ると思います。

実際、その点が加味されてなのか、マネジメントコストの必要性の度合いに応じて、給与が変わって行く給与体系をとっている企業が多い印象です。

(マネジメントコストが低いと判断された人材の給与は高く設定され、逆に、マネジメントコストが高いと判断された人材の給与は低く設定される)

その意味では、「マネジメントコストが低い人材」と評価されることが、採用確率を高め、自身の人材価値を高く評価してもらうことに繋がると言えそうです。

 

それでは、就職活動において、どうすれば、「マネジメントコストが低い人材」という印象を与えることが出来るのでしょうか?

 

カジュアルな言い方をすれば、“手がかからない人材”、“面倒くさくない人材”という心証を抱かせるということになるかと思いますが、マネジメント業務の具体的な内容から逆算して考えると、以下のような人材がマネジメントコストが低い人材ということになると思います。

 

 

・最低限の教育だけで仕事に着手できる

・業務手順の細かい指示がなくても、目的から逆算して自分でタスクを決められる

・催促されなくても、自ら業務進捗の報告ができる

・フィードバックを受けなくても自ら課題を発見し改善点・改善方法を見出せる

・叱咤激励されなくても、自分自身で仕事へのモチベーションをコントロールできる

 

 

そして、企業が応募者の人物特性を把握するのは、➊書類上の記述・エピソード、➋面接時に披露されたエピソード、➌面接での受け答え、➍逆質問の内容等になります。

 

そういった意味では、勉強や部活、アルバイト等を通じ、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回したエピソードを掘り起こし、応募書類に反映し、面接で披露すること、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)の習慣を身に着けていると推論させる経験(企業内での派遣・アルバイト・インターン経験等)をアピールすること、継続力(モチベーションを維持し続ける力)をアピールするエピソードを掘り起こし、応募書類に反映し、面接で披露すること、逆質問の場で、一を聞いて十を知れるようなクリティカルな質問を行うこと(意図がよくわからない質問をしないこと)などを意識することで、マネジメントコストが低い人材という心証を築くことが出来そうです。

 

“コスト意識”という言葉でも表現されますが、仕事が出来るビジネスパーソン同士は、いかに相手の手間(コスト)を減らすかという発想で動いています。自分自身の業務の効率化の追求から派生して、自分と関わる人の業務の効率化にも意識が及ぶようになっているためだと考えられます。

 

一方で、就職したばかりの法科大学院修了生の中には、不慣れな仕事を行う不安の大きさからか、自分自身の不安を一刻も早く解消したいという思いだけが先行し、自分で考えず・調べず、質問された側から下される評価も意識せず、不安を感じたら即座に一から十まで周囲に質問し、周囲から眉をひそめられているという方が少なからずおられます。

就職活動中の法科大学院修了生の中にも、「入社後にどれだけ教えてもらえるのか」という切り口で質問を繰り返し、自ら、高いマネジメントコストが必要な人材と悪い方にアピールしてしまっている方もおられます。

しかし、高いマネジメントコストが求められる人材に対しては、仮に、マネジメントの結果、優れた成果が出せたとしても、高い評価は下されません。マネジメントをされた当人よりも、マネジメントを行った人の寄与度の方が高いと評価されるためです。また、入社当初は、丁寧に教わることが「成長」という観点で必要だという意見もあるとは思いますが、手取り足取り教わらないと出来ない人材よりも、自分でポイントを掴み、自学自習出来る人材の方が「成長」が早いのは間違いないですので、やはり、企業内で周囲に高いマネジメントコストを課すことを肯定できる要素は少ないと言えます。

 

このように、面接評価を高めるという観点からも、入社後の評価を高めるという観点からも、「マネジメントコストが低い人材」という心証を与えることは非常に重要になります。就職活動中の法科大学院修了生も、今のうちに、一を聞いて残りの九を推論するトレーニング、手順を示されなくても目的から逆算して手順を自分でイメージするトレーニングなどを日常生活の中から行っておくとよいのではないでしょうか。

 

 

この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。

『法科大学院修了生が応募する「ポテンシャル採用枠」の選考基準』

 

 

 

【筆者プロフィール】
齊藤 源久

法科大学院修了後、大型WEBメディアを運営するIT企業にて法務責任者、事業統括マネージャーを担当した後、行政書士事務所を開設。ビジネス法務顧問として、数十社のベンチャー企業の契約法務や新規事業周りの法務相談を担う。

2014年より、株式会社More-Selectionsの専務取締役に就任。前職での採用責任者の経験・長年の法務経験・司法試験受験経験などを生かし、法科大学院修了生の就職エージェント業務、企業の法務部に派遣する法科大学院修了生向けの法務実務研修の開発・実施などを担当している。

 

 

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