会員登録

就職ノウハウ

希望年収に関する質問への答え方

Q.企業から希望年収を尋ねられましたが、職歴のない自分はどのように答えるのが適切でしょうか?

A.

希望年収についての質問は、多くの法科大学院修了生を悩ませる質問です。この種の質問に対しては、回答した金額次第で提示される年収額が変わるのではないかと、「駆け引き」、「交渉」のイメージを持たれる方も少なくないと思います。

そのためか、応募先企業がどのくらいの金額を提示して来そうかを一生懸命予測し、その予測額を元に、

・どこまで条件を吊り上げられそうか

・傲慢なイメージを回避しつつ、一番良い条件を得られる金額はいくらか

 

といった読み合いを行おうとする法科大学院修了生も少なくありません。

しかし、こと、職歴のない法科大学院修了生については、回答した金額が、実際に提示される年収額を左右するケースはほとんどありません。なぜなら、基本的に、従業員の給与額は、社内の給与ルールに厳格に従い決定される仕組みになっているからです。そのため、基本的に応募者の回答内容で企業が条件面を変動させることはほぼなく、応募者の選考評価と社内の給与ルールにしたがい、給与額が決定されることになります。

(給与ルールが整備されていないスタートアップベンチャーや家族的な零細企業は別ですが・・。)

 

では、企業側は、なんのために希望年収を質問して来るのでしょうか。それは、「自社が想定している給与レンジの中に、応募者の希望年収が収まっているか」を事前に確認し、内定を出しても入社しない人材を選考するタイムロスを防ぐという意味合いが強いです。

 

 

例)
①応募先企業の給与ルールに基づき算定された年収が380万円で、応募者が300万円を希望年収として回答した場合
→「380万円が提示される」

 

②応募先企業の給与ルールに基づき算定された年収が380万円で、応募者が450万円を希望年収として回答した場合
→給与レンジが合わないことを理由に「落選」

※よくあるケースを紹介したもので、必ず下記のような結果となるわけではありませんので、その点はご承知おきください。

 

 

このように、希望年収に関する質問には、交渉・駆け引きの要素はほぼなく、どちらかと言うと、“企業側からの足切り材料”という位置づけになります。

そのため、志望度が高く、条件面のミスマッチを理由とした足切りを出来る限り防ぎたければ、「入社出来るなら、いくらでも」、「年収300万円以上」等の低めの金額を回答した方がいいですし、そのことで、実際の提示年収が、不当に下げられるリスクもほぼないと思います。

 

一方で、希望年収に関する質問は、応募者にとっても、「内定を獲得しても入社しない企業の選考を受けるタイムロスを防ぐ」意味合いを持ち得ます。

例えば、ご自身の中で、「この企業であれば、年収●●●万円以上の条件提示でなければ入社しない」というラインが明確であれば、それを企業側に対して事前に明言することで、早期に年収面のミスマッチが発覚し、勝手に落選にしてくれる=内定を獲得しても入社しない企業の選考を省略できるという効果を発揮します。

 

そのため、希望年収に関する質問を受けた際には、シンプルに、「この企業であれば、年収いくら以下なら、内定を辞退するか」を考え、当該金額を回答するのがよいのではないでしょうか。

 

 

この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。

『法科大学院修了生の就職進路』

『法科大学院修了生がホワイト企業に入社する方法』

 

 

 

【筆者プロフィール】
齊藤 源久

法科大学院修了後、大型WEBメディアを運営するIT企業にて法務責任者、事業統括マネージャーを担当した後、行政書士事務所を開設。ビジネス法務顧問として、数十社のベンチャー企業の契約法務や新規事業周りの法務相談を担う。

2014年より、株式会社More-Selectionsの専務取締役に就任。前職での採用責任者の経験・長年の法務経験・司法試験受験経験などを生かし、法科大学院修了生の就職エージェント業務、企業の法務部に派遣する法科大学院修了生向けの法務実務研修の開発・実施などを担当している。

 

 

ページトップへ